2018年5月27日日曜日

ドーナツの穴・食べ物の形について





図書館へ本を返しに行って次は何を借りようかな…と探していると
   
   食べ物のかたちの秘密!?
   ドーナツの穴   真下弘孝 著  大空出版

が目にとびこんできた。
以前話題になったことは記憶に残っていたが、当時はめぐり合わなかった。

ドーナツは子育ての頃、もっともよく作ったおやつだった。
最初は、粉や卵や牛乳など軽量して作っていたが、
そのうちホットケーキミックスを買ってきて作るようになった。
中をくりぬいた一口大のものも仲間に入れた。
粉砂糖を茶こしで振りかけたり、黄な粉をまぶしたりした。

ドーナツを作るとき何の疑問んも抱くことなく穴をくりぬいて作っていた。
中心部分に火が通りやすいことは実感していた。
この他にどんな秘密があるのかしら?秘密が興味がわいてきた。

この本の著者  真下弘孝さんは
  「食べ物の形。これについて一つ本を書いてみませんか」と言われ
図書館へ探しに行ったが、食べ物の形について言及した本が
少ないことに気が付いた。
そこで、作り手や専門家の声を直接聞き、取材して調べて書かれた本なのだ。

丸い形の仲間たち
先ずは丸い形ドーナツから。

オランダには小麦粉の生地の真中にクルミを入れた揚げ菓子があった。
17世紀にイギリスから新天地アメリカを目指す移民たちが、
中継地のオランダでこれを知り、アメリカに伝えたと言われている。
しかしクルミが入手できなかったために中心に穴をあけた。
dough(小麦粉の生地)nut(木の実)という名もここから来たといわれている。

もう一つは
グレゴリーという名のアメリカの船乗りの話で、彼の母親が、
揚げ菓子を作ったのですが、完全に火が通らずいつも真中が、
半生の状態でした。そこで息子が、その揚げ菓子の中央に穴をあけた
ということです。これが1847年の話です。


金平糖


今ではなつかしいお菓子になってしまった金平糖だけど以外にも
スーパーのお菓子売り場で簡単に見つけることができた。
金平糖の突起の謎だが、実は私は10数年前テレビで見て知っていたのだ。

作り方
「傾斜をつけた回転鍋の中で、球体である砂糖の結晶を転がします。
 そして、その上から粘りのある糖蜜をぽたぽた落としていくと
 自然に角が現れます。角ができると凸部分には蜜が当たるようになり
 逆に凹部分には当たりにくくなって、次第に角が育っていくのです。」

これを繰り返すこと2週間。シンプルに見えて実はかなり
手間のかかるお菓子なのだ。
ちなみに回転鍋の温度・速度・蜜の濃度については「熟練した職人の技」が
モノをいうらしい。


三角形の仲間たち
アポロチョコ

箱に入った小粒のアポロチョコを探したのですが
見つかりませんでした。



1969年7月 人類初の月面着陸がアメリカの宇宙船アポロ号によって
達成された。 明治製菓のヒット商品アポロチョコレートは
その宇宙船の形をイメージして作られたものだ。

明治製菓では
「月面着陸で名を馳せたアポロですが実はお菓子の名として当社が
 「アポロ」を商標登録したのは1966年のことで、
 これはギリシャ神話のアポロンに由来します」
1967年から始まったアメリカの宇宙飛行計画であるアポロに呼応して
明治製菓も翌年からチョコの新製品を開発する「アポロ計画」をスタート。
このプロジェクトはチョコレートにもう一つおいしさをドッキングさせた。
(結果、チョコとストロベリークリーム)
新しい形態(結果、宇宙船アポロの形)の製品を作るというものだった。
「NASAからアポロ11号の月面着陸計画が発表されたことで
 お菓子の名前も「アポロ」にしました。幸い当社はこれより前に
 その名を登録していました。」
そしてアポロは月面に着陸。もう一つのアポロも人気商品として
現在に至っている。

アポロ月面着陸のテレビ放送は、子育ての大変な時期で、
お友達の家でドキドキしながら見たのは、忘れられない記憶となった。



サンドイッチ
18世紀賭け事の好きのイギリスの政治家サンドイッチ伯
ジョン・モンタギューがトランプの手を止めたくないために考えたとされる
サンドイッチ。ハムやレタスなどいろいろ挟んだパンが、
基本的には何等分かに切られている。日本だと三角形になっていることが多い。

日本パン技術研究所では
「日本では食パンは一般的には正方形ですから縦でも横でも斜めでも
 (三角)でも均等に切り分けられる。山形のイギリスパンだと三角は無理です。
 三角の場合はお店で並べた際に具がよく見える。さらに
 三角にしたほうが四角より大きく見えますね。」

商品をディスプレイするには三角のほうが、視覚的に効果があるということらしい。

「もちろん切り方にルールはありません。これはあくまで推測ですよ。
 ところで日本のサンドイッチは耳を切り落としていますが、あの部分に
 パンの香りや風味が凝縮されていますそこを切り捨てることは
 もったいないようにも感じられます。」

私はトーストにバターもジャムも蜂蜜もつけません。
山形パンの耳が大好きなのだ。
子育ての頃パンの耳を油で揚げて粉砂糖をかける、おやつをよく作ったものだ。
耳の部分は安いし、ときには無料でいただくこともあった。



6pチーズ


円形が多いナチュラルチーズは熟成の進み具合が、外側から中心へ
またはその逆(種類によって異なる)だったりします。
そうなると放射状に切るのが、基本になります。
外側から切ると場所によって味が異なりますからね。
円形のチーズを放射状に切ることによって三角になるわけだ。
「で、6pチーズというのはその伝統的な形を体現しているのです。
 プロセスチーズ(過熱により熟成は止まり味が均質)なので
 放射状にする必要はないのですが。」

ちなみに6pチーズは三角形の容器にチーズを流し込みそれを六つ
集めて丸い形の商品にする。円を6等分にしたものではない。
つまり三角が先なのだ。
パッケージに収まった6つが並んでいると雪の結晶に見える
デザインもすばらしい。


稲荷鮨
稲荷鮨は関東と関西で形が違う。
関東では油揚げを長辺で切って二つに分けた俵型。
関西では対角線で切った三角形。
三角のほうは狐の耳を横にしたものと言われていて
狐と稲荷の関係からもこれはわかる。
関西では信太鮨(しのだ寿司)とも呼ばれる稲荷鮨。
この名は信太の森(大阪府和泉市)の白狐伝説にちなんでいる。
また場所によって油揚げを裏返した稲荷鮨もある。
これはおつな寿司という名で知られ東京麻布の「おつな」の創業者が
考案したもの。現在では六本木名物の寿司である。


四角形の仲間たち
板チョコ

しあわせ結ぶ赤いハートとチョコレート限定パッケージです

板チョコの凸凹は割って食べるための目印かと昔から勝手に思っていたが、
実はコレ、違っていたのだ。

明治製菓にうかがってみると
「表面積を広くするために凸凹をつけています。
 そうするとチョコレートが短時間で固まりますから。
 また強度をアップするためでもあります。」

確かにプレーンな状態よりは凸凹させたほうが、表面積は広くなる。
意匠が施されていればいるほど見た目のみならず表面積や
強度が関係してくるわけだ。
何はともあれ、結果として、割って食べるのに便利になったし
かじって食べるときにも恰好のガイドラインになっている気がする。

ところでおなじみの板チョコである「明治ミルクチョコレート」は
1926年に誕生している。その後戦時中を除いて現在に至るまで、
お菓子の文化を彩る人気ヒット商品となっている。


ちんすこう
沖縄の銘菓、ちんすこう。気になる形の前にその歴史を

「ちんすこう本舗」新垣菓子店に聞いてみた。
「ちんすこうが誕生したのは江戸後期で、琉球王国第二尚氏の
 第17~19代国王(1800年代)に包丁役(台所奉行)として仕えた
 当家の先祖が作ったと言われてます」

歴史のあるお菓子のようだが、ちんすこうを見て
何が気になるかというと側面のギザギザだ。
それについて質問をすると
「終戦後、私の祖父が米軍のベーカリーから頂いたクッキーの型抜きを利用し
 ちんすこうを作りましたが、そのとき型抜きにすでにあの
 ギザギザがついていたようです。またそれにはMILKCOOKIE  という
 英文字が書いてあったそうです。」

これ以前ちんすこうは形が決まっていなかった。(丸い形・菊の形ほか)
現在の形になったこの名菓は本土復帰と沖縄海洋博を経た70年代より
全国的に知られるようになった。



食べ物の形には、時代背景や歴史がある。
そんな思いを強く抱くことになった。
出来上がりの見た目の問題、製造技術の問題、パッケージまで
商品に対する愛情がひしひしと伝わってきた。

鏡餅、ちくわ、バウムクーヘン、キャラメルなどなど、
取り上げたいものがたくさんあったのだが、割愛せざるを得なかった。

食べ物の形には、それぞれ意味がある。
時には形に思いをはせながら、味わいたいと思った。






サボテンの花2鉢寄せてみました



白と黄色とグリーンの色彩が高貴な雰囲気を
醸し出しています



小さい株なのに大きな花が咲きました。








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